日光を浴びても大丈夫?精油や香水の光毒性のリスクと注意点

成分解説

香水やエッセンシャルオイル(精油)を使用した後に日光を浴びると、肌にどのような影響があるのでしょうか?

すべての香水や精油が光毒性を持つわけではありませんが、一部の成分が紫外線と反応して肌トラブルを引き起こす可能性があります。

この記事では、光毒性のある成分、影響、そして安全に使用するためのポイントを紹介します。


香水と光毒性

香水には、紫外線を浴びると肌を刺激する成分が含まれていることがあります。

特に、柑橘系の精油由来の成分は光を集めやすく、日焼けや色素沈着(肌のシミ)を引き起こすことがあります。

このような作用を「光毒性」といい、肌に直接触れることで起こる反応を「接触光毒性」と呼びます。

1960年代には、オーデコロンなどの香水に含まれるベルガモットの成分「ベルガプテン(5-MOP)」が原因で、皮膚炎を引き起こす事例が多くありました。

この成分は1996年に発がん性が認められ、現在の香水には使用されていません。

しかし、現在でも香水には別の光毒性成分が含まれることがあるため、注意が必要です。

対策:

  • 購入時に「日光の下でも使用可能」などの表示があるか確認する。
  • 香水を直接肌につけず、衣服や髪につけるようにする。
  • 日光を浴びる予定がある日は、香水の使用を控える。

エッセンシャルオイル(精油)と光毒性

精油や植物オイルにも光毒性のあるものがあります。

特に以下の植物由来の精油は紫外線との相互作用により、肌にダメージを与える可能性があります。

光毒性のある精油:

  • 柑橘系(レモン、マンダリン、オレンジ、グレープフルーツ、ベルガモット など)
  • 花の精油(セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)、キンポウゲ、ゼラニウム、ラベンダー など)
  • アロエベラやセリ科の植物(セロリ、ニンジン、フェンネル、パセリ、クミン、ディル、アンジェリカ など)

セントジョーンズワート(オトギリソウ)の浸出油は日焼け後のケアとして推奨されることがありますが、実際には光毒性があり、逆に肌を傷める可能性があるため、使用には慎重になる必要があります。

柑橘系の精油に注意

柑橘系の精油はリラックス効果や安眠効果があるため、アロマテラピーでよく使われますが、紫外線を浴びると光毒性を発揮することがあります。

柑橘系の精油の中でも、特に以下の4種類は光毒性が強いことで知られています。

  • ベルガモット(最も強い光毒性を持つ)
  • アンジェリカ・ルート
  • レモン
  • グレープフルーツ

これらの精油は肌に塗った後に紫外線に当たると、皮膚にダメージを与える可能性が高いため、使用後は直射日光を避ける必要があります。

ただし、蒸留法で抽出された柑橘系精油は光毒性がないため、使用前に製造方法を確認するとよいでしょう。

ベルガモットは最も強い光毒性を持つ精油の一つですが、肌に良い作用があるため、フェイシャルマッサージなどに用いられることも多いです。

そのため、日中でも安全に使えるように、ベルガモットFCF(フロクマリンフリー) という精油が開発されました。

ベルガモットFCFには光毒性がないため、日中でも安心して使用できます。

オレンジ・ビターも毒性が強く、一般向けには販売されることが少ないものの、一部の業者がインターネットなどで販売しているため、注意が必要です。


光毒性による肌ダメージと対策

光毒性のある精油を肌につけた状態で紫外線に当たると、精油に含まれるフロクマリン類が紫外線のエネルギーを蓄積し、それを一気に放出します。

その結果、以下のような症状が引き起こされます。

  • 赤み、日焼けのような症状(1度の火傷)
  • 水ぶくれ、皮膚の損傷、色素沈着(2度・3度の火傷)
  • シミや色素沈着
  • 皮膚の組織損傷

特に、敏感肌の人や繰り返し精油を使っている人は影響を受けやすくなります。

1970年代には、ベルガモット油を高濃度に配合した化粧品によって肌にシミができる皮膚障害が多発しました。

現在の化粧品では、ベルガモットFCFを使用するか、光毒性が発揮されないレベルの低濃度で配合されています。

対策:

  • 光毒性のある精油を使用した後は、最低12〜24時間は紫外線を避ける。
  • 日焼け止めを併用し、できるだけ長袖の衣服で肌を守る。
  • 精油を使う場合は、キャリアオイルで適切に希釈する(ただし光毒性がなくなるわけではない)。
  • 「日光の下で使用可能」と記載のある商品を選ぶ。
  • 精油は蒸留法で抽出されたものか確認する。

まとめ

香水や精油を使った後に紫外線を浴びると、光毒性の影響で肌トラブルが起こる可能性があります。

特に柑橘系の成分を含むものは注意が必要です。

安全に使用するためには、事前に成分を確認し、日光を浴びる前には使用を控えることが大切です。

正しい知識を持ち、安全にアロマや香りを楽しみましょう!

参考文献:Parfum, huile essentielle… Pourquoi faut-il éviter d’utiliser ces produits sous le soleil ?

精油の光毒性について

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